テキトウ組織論・KYチーム開発

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エドガー・シャインの問いかける技術を読んだ

エドガー・H・シャインの問いかける技術

キャリア・アンカーや謙虚なコンサルティング、プロセス・コンサルテーションなどの著者で組織論、組織心理学の大家エドガー・シャインの2014年の本。

会社の図書館で見つけてこれは読まねば!と。

ちょっと読んだだけで学びが深そうなので読みながらメモる形式で書評っぽく書いていこうかなと。

質問の重要性について

特にアメリカは「自分が話す文化」らしい。そんな中問いかける技術はないがしろにされてきたきらいがあるが、これはとても重要な技術だよ、というのが導入です

でも自分が話すことの何がいけないの?という問いにシャインは「社会学的に見ると、質問せずに一方的に話すことは、相手を上から見下ろすような格好になるのだ」と書いています。

謙虚さの重要性について

謙虚さには三つあり、特に重要なのは「今ここで必要な謙虚さ」と書いてあるが、この見出しだけだと何のことかあまりよく分からなかった

ただ以下の一文でだいぶイメージできました

「自分に従う人たちに頼っていることは紛れもない事実であり、だからこそ「今ここで必要な謙虚さ」を認識するべきだということだ。」

ビジネスで言えば、チームで仕事をする以上、地位や年齢に関わらずお互いに頼りにし合うわけだから、お互いに謙虚に問いかけ合って、良好な人間関係を築かないといけないというような話だと思います。

これ本当に大事だと思っていて、あと、ロバート・キーガンの「弱さを見せ合える組織がなぜ強いのか」で言っていることとも大きな共通項があるなと。

あの本でも、上の立場にいる人ほどより弱さをさらけ出しそこに挑戦していく姿を見せるべき、といったことが書いてあったし、上の立場の人にでも率直にフィードバックできる文化を作るべきと主張されていました。

やっぱり地位が高い人にはいろいろ言いづらいんだけど、それが組織のパフォーマンスを下げたりミスを黙認させたりしちゃう。それを是正するなんらかの取り組みが必要なんだろうな〜と。

問いかけるとはどういうことか

エドガー・シャインが言っている「謙虚に問いかける」は、相手に対して興味や好奇心を抱くという態度から導かれ、もっと率直に語り合えるような関係を築きたいと願う気持ちも含まれるといいます。

確信的な質問をしようとか、誘導をうまくしようといった小手先の質問テクニックを言っているわけではないようです。

なんか結局、気持ちが大事みたいな話になってくるけど、やっぱりきっとそういうのが本質なんだろうなと思います。銀の弾丸はない、っていう感じ。

そういうところも好きなんだよなー組織論。

ただ質問しときゃいいってもんでもない

問いかけるのが大事とは言っても、ただ質問しときゃいいってことではなくて、「謙虚に問いかける」と言える質問にはいろいろ条件があるんだよってことも書いてありました。

具体例なんかは書籍に譲るとして、ざーっくり言うと本心から興味や関心をもって質問するとか、そういう感じのことがたくさん書いてあったので、読んでみると学びがあるのではと思います。

アメリカの文化には課題があるらしい

シャイン博士が言うには、「人間関係の構築よりも、課題の遂行に価値を置く文化」がアメリカの課題としてあるとか。

良い人間関係を作らないと、とかそういう問題を煩わしいと思うとか、チームワークが大事とはいいつつ、結局課題の遂行のための手段としてしか考えないとか、そういうことが書いてあった。

ただこれを読んで、多かれ少なかれ日本も似たような課題はあるよなーと思った。特にベンチャーとかだとそうかもしれない。やはり結果を出したスターに賞賛が集まる。別に悪いとは言わないけど、それだけでは達成できないものごともあるのかもしれない。

複雑な課題に対峙する時にはより依存度が高くなる

課題が複雑であるほど、チーム間でお互いに対する依存度が高くなるので、謙虚に問いかけることがより大事になると書いてありました。上に立つ人間はつねに部下たちの面子を守り、彼らの立場を確保するように行動しなければならない、と。 ちゃんと弱い立場の人のこと考えて行動しなきゃダメだよ、というのをこういう先生が言ってくれるととてもありがたいですね〜

対人関係やコラボレーションに関する研究はまだまだ現在進行形

問いかける技術という本も最近の本だし、それに繋がる種々の研究も決して大昔からあったわけでなく、徐々に研究が進められてきたものです。

人と人がどう関係をもち、それが生産性や世界の進化にどうつながっていくのか、まだまだこれからも研究されていくし、古い常識が塗り替えられたりといったことが起きるんだろうなと思います。そう考えると、AIによって人間の仕事がなくなるとかいったことはまだまだ先の話だろうなと思えてきます。