テキトウ組織論・KYチーム開発

KYなPMが組織論とかチーム開発とか頑張ってるログ(WIP)

ミハイ・チクセントミハイ、キャロル・ドウェック、マーティン・セリグマンなどのポジティブ心理学からPMが学べること

ポジティブ心理学の研究者たち

マーティン・セリグマン、キャロル・ドウェック、ミハイ・チクセントミハイ、あとアブラハム・マズローやエーリッヒ・フロム、ジークムント・フロイトやレオン・フェスティンガーなどの心理学の学者たち、特にポジティブ心理学の学者たちの書籍や理論はPMやマネージャーが仕事をする上で役に立つ。

というか、プロジェクトマネジメントをするのに、心理学の基礎的な知識も知らないというのは、私だったらPJ任せたくないなー大丈夫かなーと思ってしまうくらいのことだと思っている

プロジェクトマネジメントに心理学の知識は不可欠

理由は明確で、全てのプロジェクトは人によって推進されるからである。

プロジェクトの最小単位は人。人がどのような心理反応を起こすものなのかを理解していないと、様々起こってくるインシデントに対応できない。

防衛機制と認知的不協和くらいは覚えておきたい

ジークムント・フロイトやアンナ・フロイトによる研究が有名な防衛機制

受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的カニズムである

これは無意識に起こるものなので、誰にでも起こる。いろんな種類があるのだけど、ついつい悪い状況を限定的なものだと思い込んでしまうとか、自分のミスを誰かのせい、環境のせいにしてしまうとか

認知的不協和はレオン・フェスティンガーによって提唱されたもので、

人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語

タバコと肺がんの例が有名で、「タバコを吸うと肺がんになりやすい」という事実をねじ曲げて「喫煙してても長寿の人もいる」とか「タバコでも吸わないとストレスでどうせ死ぬし仕方ない」とか考えて禁煙しようとしない、みたいな反応があったりする。

この辺の理論はロバート・キーガンの「なぜ人と組織は変われないのか」とかにも似たような話が出てきて、地続き感がある。

プロジェクトマネジメントをしていて、例えば極端な話全然仕事を進めないメンバーがいたりした時に、この辺の知識を持ってくると「彼は何かの防衛機制として仕事を進めないという選択肢を取っているのでは?」みたいに考えたりする。つまりその原因を取り除けば…と考える。

相談できる人が周りにいなくて、かつレビューが厳しく、クオリティが低いアウトプットに対して「あいつはダメだ」というようなフィードバックが返されるような環境だとしたら、ダメ出しを恐れるあまりついつい仕事を先延ばしにしてしまうとか(あり得ないようでいて、結構あるあるだと思っている)

そういう知識がないPMとかだと、「あいつダメだなー、全然仕事しない、能力がないんだろう」という一見もっともらしいが完全に思考停止した判断をしてしまうとかいうこともあるかもしれない。

ポジティブ心理学はプロジェクトマネジメントの「攻め」に使える

防衛機制とか認知的不協和みたいな知識は、「なんかあったときどうするか」的などっちかというと守りっぽい要素

けどポジティブ心理学の理論、例えば「フロー理論」「グロースマインドセット」みたいなものは、それが満たされるチームや組織環境を整えることでメンバーの生産性を上げたりできるものなので、「攻め」に使えるものだと思っている

こういう理論を理解していると、組織施策の組み立てに納得感や説得力が増すし、効果の上がり方も違ってくる。

実感値として違ってくると思っている。PMの仕事をするようになりたてだったころ、こういう知識を知らなかった時のチームの状況と、それらを学んで実践していってからのチームの状況は明らかに違うし、その辺りに気を配るようになってからの方が明確に評価してもらえるようになった(メンバーからも、上長からも。)

ミハイ・チクセントミハイのフロー理論

ミハイ・チクセントミハイも心理学の人。フロー理論は「ゾーンに入る」とか表現されるスポーツ心理学の理論に近く、チクセントミハイの本にもスポーツの事例が結構出てくる。

人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ゾーン、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態とも呼ばれる。

特にソフトウェア開発のPJや、データ分析系のPJとかでエンジニアやデータサイエンティストが作業に没頭して普段とギアの違った進み方を見せる時があると思うのだがアレである。

そういう状況をなるべく作れるように環境を整えるとか、そうできない状況にないかをこまめにチェックするとかすると、チームの生産性が変わってきたりする

キャロル・ドウェックのグロースマインドセット

グロースマインドセットの概説はこのサイトみたいにフィックストマインドセットとの対比が分かりやすく書かれてると理解しやすいと思う

要は同じような課題が持ち上がってきたときに、逃げたり思考停止したりせずに立ち向かっていくマインドセットをどうやって作っていったらいいだろう、というような話。

KDDI、京セラの稲盛和夫氏の人生方程式(人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力)と似てる。

グロースマインドセットの育て方も書籍には書いてあるのだが、プロジェクトマネジメントにおいてこれを育てていくのもPMの仕事と考えると、やっぱり大事な理論だと思う。

人の悩みのほとんどは人間関係

人の悩みはほとんど人間関係の悩みという言葉もあるくらいで、そうするとそれを個人の問題でなく構造やシステムの問題と捉えて解決に向かわせていくことが、プロジェクトマネジメントにおいても大事だと思う。

そうしたときに、人間の心理構造や人間関係における心理反応について研究してきた心理学の知識というのは当然のごとく役に立つものだと思う。

これはプロジェクトマネジメントだけに留まらず、組織をどう運営するかというところにも活きてくるものだと考えている。

おわり。