中原淳「職場学習論」を読んだのでメモ
中原淳「職場学習論」の読書メモ
仕事の学びを科学する、とのサブタイトル通り、ちゃんと科学されていて面白かった。
備忘と、自分の周りで活用するためにメモ的にまとめる
- 中原淳「職場学習論」の読書メモ
- 職場における他者からの支援
- 職場における能力向上
- 誰からのどのような支援が能力向上に資するのか?
- 職場コミュニケーションと「能力向上」:業務経験談に着目して
- まとめ・感想
職場における他者からの支援
支援のタイプには3つあり
- 業務支援
- 内省支援
- 精神支援
である。それぞれの概要は
業務支援
具体的な業務に関する支援で、業務のアドバイスや、指示、相談に乗ってくれる、など
内省支援
自分について客観的な評価を与えてくれるとか、振り返りの機会を与えてくれるとか、コーチングに近い内容
精神支援
安らぎや安心を与えてくれるとか、息抜きになるとか、支えになってくれるとか、カウンセリングに近い内容
またそれぞれの支援をどれくらい受けられるかは、職種によっても偏りがある。
例えば内省支援は営業職や企画職は受けやすく、研究職、事務職、ENG職は受けにくいなど
職場における能力向上
「職場学習論」では、能力向上の種類を以下で提示している
- 業務能力向上
- 業務の工夫
- 専門性
- 業務における効率向上、自律
- 他部門理解向上
- 他部門の立場理解
- 他部門の業務尊重
- 他部門の意見を受け入れる
- 他部門調整能力向上
- 調整能力の向上
- 誰とでもうまくやれるようになる
- 視野拡大
- 俯瞰力の向上
- 多様な視点から考えられるようになる
- 自己理解促進
- 自分のマイナス面を素直に認められる
- 過去の自分を冷静に振り返れる
- タフネス向上
- ストレスに強くなる
- 打たれ強くなる
- 我慢することができる
誰からのどのような支援が能力向上に資するのか?
「職場学習論」では、業務支援はあまり能力向上に結びつかない、という結論になっていた。(同僚からのものを除く)
- 上司からの内省支援・精神支援
- 同僚からの内省支援・業務支援
- 上位者(先輩)からの内省支援
が能力向上に効果的という結論になっている。
次にこれら支援が発生しやすい職場・組織状況はどういうものかという分析がされていたが、「職場学習論」によれば
- 互酬性規範がある職場では、内省支援が行われる可能性が高まる
- 互酬性規範とは以下の4項目から構成されている
- 困った時にお互い助け合っている
- 他者を助ければ、今度は自分が困っている時に誰かが助けてくれるように自分の職場はできている
- 人から親切にしてもらった場合、自分も職場の他の人に親切にしようという気持ちになる
- 他者を助ければ、いずれその人から助けてもらえる
と定義されていた。
職場コミュニケーションと「能力向上」:業務経験談に着目して
「職場学習論」では、業務経験談(成功体験談・失敗経験談)が能力向上に影響を与えることが示されていた。
まとめ・感想
能力向上に影響が大きいのはやはり「内省支援」であるという結果は直感的にも理解できる。
人は(社会人は)ティーチングだけでは育たず、能力向上のためにはコーチングを経て自発的内発的に良くなろうと思ってもらわねばならない、ということだろう。
また、内省を行いやすい職種として「営業職」「企画職」が上がっていて、その理由が
とされていたことも納得感のある内容だった。
どのように普段の業務の中に内省支援を入れていけるか、設計してみたい