ゲイリー・ハメルを読んでいる(経営は何をすべきか)
ゲイリー・ハメルの書籍の書評です
確かU理論に名前が出てきたのと、ハーバードビジネスレビューで取り上げられてたので読んでいる。
年末年始たくさん本を読もうと思っていたのに、親戚まわりやら何やらで全く読めていなかった1月4日が今日である。
だけど読書も大事だけど周りの人たちに感謝を伝えるのもやっぱり大事なのでそれでよかったということにしたい
- ゲイリー・ハメルの書籍の書評です
- ざっくりとまとめてみる
- 1部:いま理念が重要である
- 2部:いまイノベーションが重要である
- 3部:いま適応力が重要である
- 前提を疑い、自社を時代遅れにしないよう適応力を高める変革を起こし続けよう
- 4部:今情熱が重要である
- 5部:いまイデオロギーが重要である
- 「経営は何をすべきか」を読み終えての感想
ざっくりとまとめてみる
この本は全部で5部の構成でそれぞれ5テーマで書かれていました。
ブログを読み返したときにざっくり概要を思い出せるように、なるべく短くまとめようと思います
1部:いま理念が重要である
経営も高尚なアートであるべき
高尚とは
利己的になるな、時を超えた価値の為に尽くそう
みたいな感じでした。
文中に大恐慌のさなかのルーズベルト大統領の宣言が載っているのですが
「ここに古くからの真理を蘇らせましょう。その成果のほどは、単なる金銭的利益の追求にとどまらない、より高尚な社会理念をどれだけ活かすかで測られます。」
とあります。これがわかりやすかったです。
アートであるべきってどういうことか
琴線に触れることのない、あまり素晴らしくない理念の対比として、ミケランジェロ、ガリレオ、ガンジー、マザー・テレサなどの名とともに、
「卓越した偉業とは、美、真実、叡智、正義、慈善、喜び、勇気、名誉といった時を超えた価値のために熱心に尽くすことから生まれる」
と書かれていました。
つまり高尚なだけでなくて、人の心に響くようなアートのような理念が必要だよって事なんじゃないかなと思いました。
2部:いまイノベーションが重要である
美しいイノベーションがなければ我々に未来はない
イノベーションと美しさって?
この部ではデザインの重要性や、イノベーション企業の代表例としてのアップルのアーティスト的な感性について書かれていました。
合理性、慎重さ、会計士的な感性の対比として情熱、先手を取ること、アーティスト的な感性を挙げていて、これから先はこれが重要という論調でした。
なるほど感は確かにあります。
ので、ただ「イノベーション」ではなく「美しいイノベーション」が必要と言ってる気がします
イノベーション自体の重要性
我々の歴史は結局イノベーションによって進化してきてるよね?という振り返りと、今人類が抱えている課題を解決するにも同様にイノベーションが不可欠で、つまり我々の未来はイノベーションにかかっているという内容でした。
なので「美しいイノベーションがなければ我々に未来はない」
とまとめましたです。
3部:いま適応力が重要である
宗教組織が時代にそぐわなくなっているとしたら、「宗教」そのものではなく「組織」にこそ問題がある
この部をまとめる前に、特に面白いなと思った一文をピクックアップしました。
キリスト教も最初の二百年は組織化されない、今日のウェブのような存在だった。
それが宗教組織化したことでエントロピーの法則に捕まったのだという話でした。これは面白い。
前提を疑い、自社を時代遅れにしないよう適応力を高める変革を起こし続けよう
「エントロピー」という言葉をどういう意味で使っているのか、正確なところはわからないのだけど、おそらく
「組織はそれが大きくなるにつれて複雑性を増していき、時代遅れの存在になって衰退していく」というような意味だと思います。
適応力の高い企業は中核事業を絶えず見直して新たな事業機会を掴む、そうでないならばエントロピー増大の法則に捕らえられて衰退する、それを防ぐための秘策を書いておきますね、というような部でした。
自社を時代遅れにしないための虎の巻
3部のまとめはこの虎の巻として設計ルールの骨子がまとめられていた。簡単にまとめると
1. 予測
- 避けようのない自体を直視する
- 周縁部から学ぶ(未来はすでに起きている。局所的にしか見られないだけ)
- いくつかの将来シナリオに備える
2. 知的柔軟性
- 前提を疑う
- 多様な人材を集める
- 討論と弁証法的な発想を奨励する(社内で意見のぶつけ合いを奨励)
3. 戦略の多様性
- 新戦略の選択肢をいくつも揃えておく
- 優れたアイデアを引き寄せる仕組みをつくる(IBM:イノベーション・ジャム、DELL:アイデアストーム など)
- 検証のコストを最小限に抑える(ラピッド・プロトタイピング)
4. 戦略の柔軟性
- 組織を分解する(個性のある小さな組織のほうが適応力を発揮しやすい)
- 経営資源をめぐる本物の競争を生み出す
- 新規施策の資金源をいくつも設ける
5. 組織の柔軟性
- 後戻りの利かない関与を避ける(ある判断にどれだけ縛られるか、自由度が狭まるか、撤回がどれくらい大変か考える)
- 柔軟性を得るために投資する
- コンピタンスとプラットフォームについて考える
6. 逆境に耐えようとする理念
柔軟性を自社のDNAに刻みつけないといけない
- 大きな試練を受け入れる
- 新しいマネジメント原則を取り入れる
- ウェブに触発された価値観を尊重する(ゲイリー・ハメルによると、人類による創造物のなかでもインターネットほど適応力に優れたものは他にない。とのこと)
4部:今情熱が重要である
情熱を持った個人とコミュニティを信頼する
能力のピラミッドを以下の通り定義すると、創造性が大きな意味をもつ今日の経済で最大の価値を生む資質は「情熱」とのこと。
- レベル6:情熱
- レベル5:創造性
- レベル4:主体性
- レベル3:専門性
- レベル2:勤勉
- レベル1:従順
この情熱を持った個人の力を活かすために、組織よりも個人を優先し、コミュニティを築くことが大事というのが書かれています。 この部に「ドルーの改革」という部分があるのですが、この話がとても面白いです。
大規模組織の管理型になって勢いがなくなっていた教会を、キリスト教の草創期のように中規模コミュニティの分散統治型に戻したらとてもうまくいくようになった、というようなお話。
5部:いまイデオロギーが重要である
管理、階層から解放して組織のピラミッドを逆さまに
旧来のマネジメントのイデオロギーは管理、効率化、階層などにとらわれているが、これはもう旧時代的なので変えていこうというようなお話。
また、権限や意思決定をトップからボトムに移譲してピラミッド型の組織を作り変えたほうがいいというような話。
最近インターナル・コミュニケーションのあたりでEVPみたいな概念が注目されたりしてるのと通じるものがある感じがしました(EVP:直訳すると「従業員価値提案」。つまり、企業が従業員に提供できる価値のこと)
最後、p357からの「さらなる高みを目指して」には全体のまとめのようなものが載っていたので、時間がないときはこれをざっと眺めるだけでもちょっとわかった気になれる気がしました。
「経営は何をすべきか」を読み終えての感想
とりあえずまとめ終わった。色々なところで取り上げられてるだけあって納得感はありました。
私は割とすぐ本に書いてあることは信じちゃうたちなんですが、他の書籍で言われている概念と共通してたりするのでより納得感がありました。
やっぱりここ10年くらいで特に組織開発とかマネジメントに関して変わってきてるのか、発行年数も気にして本を読むと色々発見があって面白いですね。
おわり