プロジェクトマネジメントと心理的安全性に関する持論
心理的安全性をコントロールするプロジェクトマネジメントが重要
最近、
成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法
という本を読みまして。
この本すごく良かったんですが、その中にプロは持論をもつものだ、みたいな記述がありました。
能力はだんだん具体から抽象にレベルアップしていくんだけど、抽象性が大事なのはそれが「再現性」につながるからと書いてある。
— ky(kuki - yomenai)pm (@yutakobayashi) 2019年3月17日
抽象性のある持論を組み立てる能力は大事みたい
私は10年弱、PMをやっていてプロジェクトマネジメントをしてきたので、「持論」がないとおかしいよねということで(10年もやって何もなかったらヤバイw)ちょっと文章化してみようかなと思い立ちました。
- 心理的安全性をコントロールするプロジェクトマネジメントが重要
- プロジェクトをマネジメントするとはどういうことなのか
- 心理的安全性が大事である、と感じ始めたきっかけ
- つまりPMの仕事はメンバーの心理的安全性を高めきることなのではないか
- プロダクトマネージメントについて思っていること
プロジェクトをマネジメントするとはどういうことなのか
プロジェクトをマネジメントする、となるとマネジメント=管理(直訳すると)なので
プロジェクトの管理をする人、みたいな理解になり、そうするとやることは要件整理とかタスク分解とかスケジュールコントロール、ステークホルダーコントロールとか色々出てくると思います
私もそういうのが大事なのだろうと思って色々工夫してみたり、それ系の本を読んでみたりといったことを随分したんですが、まあ上手くいかない。
知識を得て、実践も愚直にしてみるのに上手くいかないんですねw(あの頃は辛かったなあ〜w)
上長とかに相談しても、「いやー〇〇がもうちょい足りないのでは」みたいなフィードバックで、内心正直なところ、「これ以上どうしろと!?」みたいに思ってたりしましたw
プロジェクトをマネジメントするってどういうことなんですかね・・・私は現時点では「プロジェクトメンバーの心理的安全性を高めきること」が大事なんじゃないかなと思っています
心理的安全性が大事である、と感じ始めたきっかけ
私がその辺りを意識し始めたのにはきっかけがあったということに、昨日同僚と話していて気がつきました。
どういうことかというと
- ある事情で部署を異動した
- 異動先でとても上手くいき、評価も上がった
- しかし、自分の能力がそのタイミングでいきなり上がったとは思えない(特に何もしてないw)
- 異動前、後で大きく違った要素をまとめると「心理的安全性」だった
という感じです。 異動後、エンジニアリーダーが非常に協力的かつ、やりたいこと(リポジトリ管理の仕方とか、Issue管理の仕方、会議体の設計など)を色々もっている方だったので、とにかくこの人が気持ちよくやれる調整だけまず頑張ってみようと思ったのを覚えています。
その結果、おそらくですが
- 提案が通る、聞いてもらえる環境になったのでエンジニア陣の発言が増える
- 単純に会話量が増えるので、だんだんキャラクターを相互理解していく
- 毎日朝会をやるようになり、キャラも知ってるので雑談がはずむ
- コミュニケーションがなめらかかつ頻繁になるので、リスクは早急に共有されるし、ポジティブな提案もさらに出てくる
というような結果につながり、チームのパフォーマンスが上がったのではないかなと。
このとき取り入れたやり方自体は特に目新しいとか、ものすごく合理的であるとかいったことはなく、
いわゆるでいうとアジャイルっぽいよね、スクラムっぽいよねという内容でした。
つまりフレームワークとか仕組みとかが高度だとかいう話でもたらされた結果ではなく、本人がいいと思うやり方を取り入れたことなどによって心理的安全性が高まったことが、パフォーマンスに影響を与えたのではないかと。
つまりPMの仕事はメンバーの心理的安全性を高めきることなのではないか
要件整理はPMの仕事、とか、ステークホルダーとの折衝はPMの仕事、とか色々言われると思うのですが、その辺の仕事すら、周りが率先してやってくれちゃったりすることも、プロジェクトが上手く回っているとあったりします。
心理的安全性が高くなると、余計なことを考える必要がなくなるので、そういう積極的な行動をしてくれるようになるんじゃないかなと思っています。ここでいう余計なことというのは
- 「本業は〇〇でしょ?そっちで成果出てないと評価できない」とか言われないかな?
- 〇〇を進めておかないと、「あいつ仕事してない」とか言われないかな?
- 能力が低いと思われるといづらくなる・・・〇〇ができてないと能力が低いと言われそう・・・
- プロジェクトが成功しても、自分の貢献度を示せてないと自分の評価は上がらないのでは・・・
みたいなやつです。ロバート・キーガンの「弱さを見せ合える組織はなぜ強いのか」に似たような話が書いてあった記憶があります。
結局プロジェクトマネージャーがマネジメントするプロジェクトというものは、人によって構成されているわけで。その人々がパフォーマンス高まらない限り、プロジェクトのパフォーマンスも上がらないわけです。どんな立派な戦略や、仕組みや、知識、経験があったとしても、メンバーのパフォーマンスが上がらないならそのプロジェクトは失敗するわけなので、いかにメンバーに気持ちよく仕事をしてもらうかが大事。
(何度もプロジェクトを失敗に導いてしまった私が言うのだから多分そう間違ったことは言ってないと思うw)
だからPMの仕事はメンバーの心理的安全性を高めきることだし、そうできるような体制を整え、会議体や情報伝達フローなどの仕組みを整え、心理的安全性に関してネガティブな動きがないかを注視し、すいあげられる仕組みを作り、それらを常にブラッシュアップし続けることだと思うわけです。これが私の持論ということになりますかね。
(そしてこの仕事、一人専任いないと回らないくらいの大変さはあると思ってます)
プロダクトマネージメントについて思っていること
最近では、プロジェクトマネジメントよりもプロダクトマネジメントだ!PMよりPdMだ!みたいな話をよく聞きますし
私も2015〜2017くらいにかけてプロダクトマネージャー目指して色々勉強したり実践してみたりしてたんですが
特に日本において、「超優秀なPdMが必要だ!」みたいなのが「PdMさえいればなんとかなる!」みたいに誤解(?)されてる雰囲気を感じていてモヤモヤした感情を抱いていたりします。
一人でできる仕事なんて存在しないので、周囲の人々の力をちゃんと引き出せる人こそ必要なのだと思います。
※PdMを否定しているわけではないです。誤解をしちゃうと危ないんじゃないかなと思っているだけです。