失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 を読んだ
失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 を読みました
原題は「Black Box Thinking : The Surprising Truth About Success」で、直訳すると失敗の科学ではないんですけどね。 面白かったので書評的に書いてみようかと。
- 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 を読みました
- 失敗を科学してこそ成功に近づく
- 人は嘘を隠すのではなく信じ込む
- 組織がエラーや失敗から学ぼうとする文化を作らないといけない
- マージナル・ゲインが大事
失敗を科学してこそ成功に近づく
この本には、失敗から学べずに進歩ができなかった例と、失敗を科学して進歩を実現した例が示されています。
失敗についての意識を改める必要があるなあと思いました。「失敗を再定義することによってのみ、進歩、創造性、および回復力が発揮される」と書いてあります。
人は嘘を隠すのではなく信じ込む
嘘だったり、失敗が起こると認知的不協和が起こり、人間はそれまでの行動を正当化するように行動するらしいです。だから人間は嘘や失敗を隠す訳ではなく、それが正当だったという理由を後付けで持ってきて正当化するらしいです。
これ非常に怖いなと思っていて、本の中には何かの例で集中治療室の中での出来事が書いてありました。執刀医が強い権力を持っている治療中の病室で、執刀医がミスを犯していることを誰も指摘できずに患者が死んでしまうことがあるとか。本の中に書いてあった一例では、手術中に患者がラテックスアレルギーらしき反応を示したにも関わらず、執刀医がその可能性を認めずゴム手袋を交換(ゴムではない素材の手袋があるらしい)しようとせず、危うく患者を死なせるところだったという例が書かれていました。
手袋の交換には5分ほどしかかからないにも関わらず、執刀医は自分の過ちを認めることができずに患者のラテックスアレルギーの可能性を認めようとしなかったそうです。
組織がエラーや失敗から学ぼうとする文化を作らないといけない
失敗を恥ずべきもの、自分の立場を悪くするものと捉える文化が、失敗を隠したり、失敗を失敗でないと思い込もうとする心理に繋がっているらしいので、失敗を成長に必要なものだと認め、そこから積極的に学ぶ文化を作っておかないと、組織の成長が妨げられるのではないかと思います。
やはりここは個々人の努力というよりも、そういう文化、環境を作って行かないといけないと思いました。
マージナル・ゲインが大事
マージナル・ゲインというのは「小さな改善の積み重ね」です。この本ではそれが大事だと書いていました。OKRのムーンショットとは相反する概念かもしれません
細かく改善を積み重ねることで、大きな結果に繋がるという意味でいうと、相反するというよりはムーンショットの中身を細かくみていくとマージナル・ゲインが存在するということかもしれないですね。2つの理論をつなぎ合わせるとそういうことになるかもしれません
どうしてもムーンショットを意識すると、細かい改善を後回しにしてしまうことがあるのではないかと思うのですが、こういう本を読むと、やはり最小単位は細かな改善になるはずなので、両方意識できるような組織文化を作っていくことが大事なのかもしれません。
おわり